AI開発の事例は?業務別に見る企業の取り組みと成功のポイント、進め方
「AIを自社の業務に取り入れたいが、他社はどのようなAIを開発しているのか」「事例を参考に、自社でも取り組めるテーマを見つけたい」と考える担当者は多いのではないでしょうか。AI開発の事例は数多く公開されていますが、表面的な成果だけを見ても、自社にどう生かせばよいのかは分かりにくいものです。
AI開発の事例から学ぶべきなのは、どんな課題に対して、どのデータを使い、どのような体制で開発を進めたのかという過程です。この視点で事例を読み解くと、業種や規模が違っても、自社に応用できるポイントが見えてきます。
この記事では、AI開発の基本、公的な資料で紹介されている国内企業のAI開発事例、事例から見える成功パターン、中小企業でも取り組みやすいテーマ、自社でAI開発を進める手順と注意点まで順に解説します。
| 確認したいポイント | 結論 | 詳細 |
|---|---|---|
| どんなAI開発の事例がある? | 研究・製造・営業・店舗・経営など幅広い | 創薬や設計の効率化、熟練者の技能を引き継ぐAIエージェント、営業の記録支援、店舗スタッフ向けアシスタント、経営判断の支援などの事例があります。 |
| 事例に共通する成功要因は? | 現場の課題起点と、自社データの活用 | 成果を出している企業は、具体的な業務課題から出発し、社内に蓄積した記録やノウハウをAIに生かし、外部と組みながら段階的に広げています。 |
| 中小企業でも取り組める? | 問い合わせ対応や帳票処理から始めやすい | 社内マニュアルの検索、帳票の読み取りと入力、営業記録の作成支援など、データが手元にあり効果を測りやすい業務から小さく始めるのが現実的です。 |
| 自社で進めるには? | 課題設定→データ棚卸し→体制決定→検証 | 対象業務と目標を決め、使えるデータを確認し、内製か外注かを判断したうえで、小さく検証してから現場に広げる順序で進めます。 |
この記事でわかること
- AI開発の基本と、事例を見るときの観点
- 研究・製造・営業・店舗・経営の各領域におけるAI開発の事例
- 事例から見えるAI開発の成功パターン
- 中小企業でも取り組みやすいAI開発のテーマ
- 事例を参考に自社でAI開発を進める手順と注意点
| 他社の事例を参考に、自社に合ったAI開発のテーマを見つけたい方へ ビジョナリージャパンでは、AIを導入する業務の選び方から、既存システムとの連携、現場への定着までの流れをまとめた資料をご用意しています。社内での検討材料としてご活用ください。 AI開発・導入の資料を請求する(無料) |
AI開発とは?事例を見る前に押さえたい基本
事例を読み解く前に、AI開発とは何を指すのか、どのようなシステムが開発されているのか、事例をどんな観点で見ればよいのかを整理しておきましょう。この前提を押さえておくと、事例から得られる学びが大きく変わります。
AI開発と既製ツール導入の違い
AI開発とは、機械学習や生成AIなどの技術を使って、自社の業務課題を解決するシステムやサービスをつくることを指します。既製のAIツールを契約してそのまま使う場合と異なり、自社の業務の流れやデータ、判断基準に合わせてAIを設計できるのが特徴です。
既製ツールは手軽に始められる一方で、自社特有の業務や社内システムとの連携には限界があります。業務の中核に関わる部分や、他社との差別化につながる部分では、独自にAIを開発する企業が増えています。
ただし、AI開発は既製ツールの導入に比べて費用と期間がかかります。どの業務を独自に開発し、どの業務は既製ツールで済ませるのかを見極めることが、AI投資の効果を高めるうえで重要です。
AIで開発できる主なシステムの種類
企業が開発しているAIシステムは、大きく分けて、社内の情報を検索して答える対話型のAI、画像や映像から異常を見つける画像解析AI、需要や故障を予測する予測AI、文書を作成・要約する生成AI、複数の作業を自律的に進めるAIエージェントなどがあります。
最近では、これらを組み合わせて、情報の検索から判断材料の整理、システムへの登録までを一続きで行うAIエージェントの開発が広がっています。単純な作業の自動化にとどまらず、人の判断を支える役割を担うAIが増えている点が、近年の事例の特徴です。
事例を見るときに注目したい3つの観点
AI開発の事例を参考にする際は、どんな課題を解決しようとしたのか、どのデータを使ったのか、誰とどのように開発したのかという3つの観点に注目しましょう。
使った技術や成果の数字だけを見ても、自社に当てはめるのは難しいものです。課題の立て方やデータの集め方、体制のつくり方といった過程に目を向けると、業種や規模が違っても応用できるヒントが見つかります。
業務別に見るAI開発の事例
ここでは、総務省「令和8年版 情報通信白書」の日本企業におけるAI活用事例で紹介されている取り組みの中から、AIを自社の業務に合わせて開発・活用している事例を業務領域別に紹介します。同白書では、多くの日本企業が業務類型ごとにAI活用を具体的に検討する段階に移行していくと見込まれていると述べられています。
いずれも公開情報をもとに要点をまとめたものです。各社の取り組みの詳細や最新の状況は、白書や各社の発表資料をご確認ください。
研究開発:中外製薬の「AI創薬」
中外製薬は、「AI創薬」を中心に業務構造全体の改革に取り組んでいます。医薬品開発には、研究開発期間の長さや費用の大きさ、成功確率の低さといった構造的な課題があり、疾患ターゲットの探索や医薬品の分子デザインに機械学習などのAI技術を活用することで、創薬プロセスの短縮や成功確率の向上を目指しています。
あわせて、各作業へのロボットの導入による自動化・省力化にも取り組み、自社のデータだけでなく他社とも積極的に連携しているとされています。研究プロセスの効率化にとどまらず、新たな価値の創出まで目標に掲げている点が特徴です。
この事例から学べるのは、AIを個別の作業の道具として使うだけでなく、業務の進め方そのものを見直す手段として位置づけている点です。AI開発の目的を業務改革と結びつけることで、投資の効果を大きくできます。
商品開発:パナソニックホールディングスの「設計AI」
パナソニックホールディングスは、自社の強みであるシミュレーション技術とAI技術を組み合わせた「設計AI」を活用しています。
事前の学習を前提とせず逐次的に学習でき、さまざまな設計条件に適用できるAI技術によって、モデルの作成からシミュレーションによる評価、形状の決定までのプロセスを自動化・高速化しているといいます。
自社が長年培ってきた技術とAIを掛け合わせることで、他社がまねしにくい開発の仕組みをつくっている点は、多くの製造業にとって参考になる事例です。
製造・保守:ダイキン工業の「熟練工AIエージェント」
ダイキン工業は、現場を担ってきた熟練エンジニアが将来減少することを見据え、サービスエンジニアが装着したウェアラブル端末の作業映像をもとに、空調機の点検・修理作業の抜け漏れを自動でチェックし、結果をスマートフォンに通知する熟練工AIエージェントを自社で開発しました。
この取り組みは、経済産業省とNEDOが主催する「GENIAC-PRIZE」で最高賞と特別賞「AIエージェント賞」を受賞しています。
さらに、設備の異常についてテキストで質問すると、故障かどうかや原因・対策を提示する「故障診断AIエージェント」も外部企業と共同で開発・導入しています。設備図面や過去の保全記録をナレッジグラフとして取り込み、多言語に対応して海外拠点でも使えるようにしている点が特徴です。
製造業での活用の考え方は、製造業におけるAIエージェントの活用事例と選び方でも紹介しています。
営業:明治安田生命の「デジタル秘書」
明治安田生命は、AIを活用した「デジタル秘書」をほぼ全従業員に提供し、顧客との面談記録の作成やデータの蓄積を支援しています。今後は、AIエージェントが過去の面談情報や社内情報を参照して、次の提案内容の検討や提案書の作成を自律的に支援することを構想しているとされています。
記録作成などの業務を効率化して生まれた余力を、顧客サービスの向上に振り向けるという考え方は、営業部門でAIを開発する際の目的設定として参考になります。
まずは記録作成という身近な業務からAIを定着させ、蓄積したデータを生かして提案支援へと段階的に機能を広げていく流れも、多くの企業がまねしやすい進め方です。
店舗業務:イオンの「AIアシスタント」
イオンは、従業員向けのマニュアルなどを学習させたAIを搭載した端末「AIアシスタント」を開発し、一部の店舗で導入しています。免税対応や商品の配送、落とし物の管理など幅広い業務のマニュアルに基づいて回答し、音声入力にも対応しており、現場の従業員から使いやすさの面でも好評だといいます。
イオングループでは、約300のグループ会社の顧客データの統合を進めながら、自社でのAIエージェント開発にも着手しているとされています。社内のマニュアルや資料をAIに参照させる仕組みづくりについては、RAG構築の仕組みと手順、精度を高める進め方で詳しく解説しています。
経営:キリンホールディングスのAI役員「CoreMate」
キリンホールディングスは、過去10年分の取締役会やグループ経営戦略会議の議事録、社内データ、外部の最新情報を読み込ませ、財務やマーケティングなど異なる役割を持たせたAI役員「CoreMate」を開発しました。
経営会議に議案を出す担当者が事前の壁打ちに活用することで、多様な経営の視点を取り込み、資料の精度を高めることに役立てているといいます。経営判断のような高度な領域でも、蓄積された社内の知見をAIに生かすことで、判断の質とスピードを高める取り組みが進んでいることが分かります。
また、会議中の発言から抽出した論点や意見を経営陣に提示できるとされており、議論の抜け漏れを防ぐ役割も期待されています。外部の専門知識も継続的に更新しているため、変化の激しい環境に合わせた判断の支援が可能になっています。
紹介した事例を一覧で整理する
ここまで紹介した事例を整理すると、次の表のようになります。いずれの事例も、自社に蓄積されたデータやノウハウをAIの土台にしている点が共通しています。
| 企業 | 業務領域 | 開発・活用したAI | 注目したい点 |
|---|---|---|---|
| 中外製薬 | 研究開発 | 創薬プロセスを支えるAI | 業務構造全体の改革と他社連携 |
| パナソニックHD | 商品開発 | シミュレーションと組み合わせた設計AI | 自社の強みとなる技術との掛け合わせ |
| ダイキン工業 | 製造・保守 | 熟練工AIエージェント、故障診断AIエージェント | 熟練者の知見と保全記録の活用 |
| 明治安田生命 | 営業 | 面談記録を支援するデジタル秘書 | 効率化で生まれた余力を顧客対応へ |
| イオン | 店舗業務 | マニュアルを学習したAIアシスタント | 現場で使いやすい音声対応 |
| キリンHD | 経営 | 役割を持たせたAI役員 | 過去の議事録など経営知見の活用 |
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事例から見えるAI開発の成功パターン
業種も規模も異なる事例ですが、成果を上げている企業の取り組みには共通するパターンがあります。ここでは、事例から読み取れる4つの成功パターンを紹介します。
現場の具体的な課題から出発している
紹介した事例は、いずれも「熟練者が減っていく」「マニュアルを探すのに時間がかかる」「面談記録の作成に手間がかかる」といった、現場の具体的な課題からAI開発を始めています。
「AIで何かできないか」という発想から始めると、目的があいまいになり、成果が見えないまま終わりがちです。解決したい課題と、解決できたかどうかを測る指標を先に決めることが、AI開発の出発点になります。
課題を見つけるには、現場の担当者が日々感じている不便や負担に耳を傾けることが近道です。経営層や情報システム部門だけで考えず、現場を巻き込んで課題を洗い出しましょう。
社内に蓄積したデータとナレッジを生かしている
ダイキン工業の保全記録、イオンのマニュアル、キリンホールディングスの議事録のように、成果を上げている事例の多くは、長年社内に蓄積してきたデータやノウハウをAIの土台にしています。
汎用的なAIは誰でも使えますが、自社のデータを組み込んだAIは他社がまねできません。社内にどんなデータや記録があるのかを把握することが、競争力のあるAIをつくる第一歩です。
外部と組みながら段階的に広げている
事例の中には、外部の企業と共同で開発したり、一部の店舗から導入したりと、すべてを自社だけで一度に進めるのではなく、外部の力を借りながら段階的に広げているものが多く見られます。
小さな範囲で効果を確かめ、現場の声を反映しながら対象を広げていくことで、失敗のリスクを抑えながら確実に成果を積み上げられます。
人の判断を支える位置づけにしている
多くの事例で、AIは人の仕事を完全に置き換えるものではなく、判断に必要な情報をそろえたり、抜け漏れを知らせたりして、人を支える役割として位置づけられています。イオンのAIアシスタントが現場の「黒子」と表現されているのはその象徴です。
最終的な判断は人が担い、AIはその前段階の作業や確認を引き受けるという役割分担を明確にすることで、現場の理解を得やすくなり、導入後の定着にもつながります。
中小企業でも取り組みやすいAI開発のテーマ
紹介した事例は大企業のものが中心ですが、考え方そのものは中小企業にも応用できます。ここでは、データが手元にあり、効果を測りやすい、中小企業でも取り組みやすいAI開発のテーマを紹介します。
社内問い合わせ対応とマニュアル検索
社内規程や業務マニュアル、過去の対応記録をAIに参照させ、社員の質問に答える仕組みは、比較的小さな投資で効果を実感しやすいテーマです。イオンのAIアシスタントのように、現場の従業員がすぐに必要な情報にたどり着けるようになります。
総務や人事、情報システム部門に寄せられる同じような質問への対応時間を減らせるほか、新人の教育にかかる負担の軽減にもつながります。
回答の根拠となった資料を一緒に表示できるようにしておくと、利用者が内容を確かめやすくなり、AIへの信頼も高まります。参照させる資料は定期的に見直し、最新の状態を保つことが大切です。
帳票処理と経理業務の効率化
請求書や注文書の読み取り、仕訳案の作成、経費精算の規程チェックなど、手作業での入力や確認が多い経理業務も、AI開発の効果が出やすい領域です。取引先ごとに書式が異なる帳票でも、AIを使えば必要な項目を抜き出して入力できるようになります。
経理業務でのAIエージェント活用の進め方や選び方は、経理業務におけるAIエージェントの活用と導入ステップで詳しく紹介しています。
営業・顧客対応の記録と提案準備
明治安田生命の事例のように、商談や面談の記録作成をAIで支援すると、営業担当者が顧客と向き合う時間を増やせます。商談の音声やメモから記録を作成し、顧客管理システムに登録するまでを自動化すれば、記録の抜け漏れも防げます。
蓄積した記録をもとに、次回の提案内容の候補や準備資料をAIに作成させれば、経験の浅い営業担当者でも一定の水準で提案の準備ができるようになります。
熟練者の知識を引き継ぐナレッジ活用
ダイキン工業の事例が示すように、熟練者の経験やノウハウをAIに取り込み、若手が参照できるようにする取り組みは、人材不足や技能継承に悩む中小企業にとって特に価値があります。
過去のトラブル対応の記録や作業報告書、ベテラン社員へのヒアリング内容を整理してAIに参照させれば、担当者が不在のときでも過去の知見に基づいた対応がしやすくなります。
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事例を参考に自社でAI開発を進める手順
他社の事例をそのまままねしても、自社で同じ成果が出るとは限りません。事例から得たヒントを自社の状況に当てはめ、段階的に開発を進めることが大切です。ここでは、4つのステップに分けて進め方を紹介します。
ステップ1:解決したい課題と対象業務を決める
最初に、AIで解決したい課題を具体的に定め、対象とする業務を選びます。「誰の、どの作業に、どれだけ時間がかかっているのか」を現場に聞き取り、作業時間や件数などの数値で把握することが重要です。
対象業務は、発生頻度が高く、作業時間が長く、効果を測りやすいものから選ぶのがおすすめです。あわせて、削減したい時間や処理件数などの目標を決めておくと、開発後の評価がしやすくなります。
ステップ2:使えるデータとナレッジを棚卸しする
次に、AIに使えるデータが社内にどれだけあるかを確認します。マニュアル、過去の記録、帳票、議事録、システムに蓄積されたデータなど、どこに、どんな形式で、どれくらいの量があるのかを整理しましょう。
紙のまま保管されている資料や、担当者の頭の中にしかない判断基準は、AIに活用できるようにデータ化や言語化を進める必要があります。この準備の質が、開発したAIの精度を大きく左右します。
ステップ3:開発体制を決める
AI開発の体制には、自社で開発する内製、開発会社に依頼する外注、外部と共同で開発する方法などがあります。社内のAI人材の状況、開発の規模、求めるスピードによって適した体制は変わります。
事例にもあるように、外部と組みながら社内にノウハウを残していく進め方は、多くの企業にとって現実的な選択肢です。内製と外注の判断軸や外注先の種類は、AI開発は外注と内製どちらを選ぶべきかで整理しています。
外部に依頼する場合でも、課題の設定やデータの準備、現場との調整は社内の担当者が主体となって進める必要があります。社内に推進役を置き、開発会社と現場をつなぐ体制を整えておきましょう。
ステップ4:小さく検証し、現場に広げる
いきなり全社に導入するのではなく、特定の部署や業務で試験的に使い、効果と課題を確認します。現場の担当者の声を集め、使いにくい点や精度の課題を改善してから対象を広げることで、定着しやすくなります。
検証の結果を数値で示せれば、社内の理解も得やすくなります。AIエージェントを使った業務効率化やコスト削減の事例は、AIエージェントの導入事例集でも紹介しています。
AI開発で失敗しないための注意点
事例のように成果を出せる企業がある一方で、AI開発が思うように進まず、途中で止まってしまう企業も少なくありません。よくある失敗のパターンと、その対策を紹介します。
技術から入り、目的があいまいになる
「最新のAIを使ってみたい」という技術先行の発想で始めると、何のために開発するのかがあいまいになり、成果を評価できなくなります。常に「どの業務課題を解決するのか」に立ち返り、目的と評価指標を明確にしておくことが大切です。
開発会社に依頼する場合も、技術的な提案に引きずられて目的がずれていないかを、発注側が定期的に確認することが重要です。目的に照らして不要な機能は思い切って削る判断も必要になります。
データの準備が不足している
AIの精度は、学習や参照に使うデータの質と量に左右されます。データが古い、形式がばらばら、量が足りないといった状態で開発を始めると、期待した精度が出ずに計画が止まってしまいます。開発の前に、データの整備にかかる時間と工数を計画に含めておきましょう。
データが不十分な場合は、まず手元にあるデータで実現できる範囲から始め、運用しながらデータを蓄積して精度を高めていく方法もあります。完璧なデータがそろうのを待つより、早く始めて改善を重ねるほうが成果につながることも多いです。
現場で使われない
技術的には完成しても、現場の業務の流れに合っていなければ使われません。開発の初期段階から現場の担当者に参加してもらい、普段使っているシステムや作業の流れに組み込める形で設計することが、定着の鍵になります。
導入後も、利用状況や現場の声を定期的に確認し、改善を続ける体制を整えておきましょう。
セキュリティとデータの扱いを後回しにする
社内のデータをAIに使う以上、情報漏えいへの対策は欠かせません。入力したデータが外部のAIの学習に使われない環境を選ぶ、閲覧できるデータの範囲を権限で制限する、操作の記録を残すといった対策を、開発の初期段階から設計しておくことが重要です。
あわせて、AIの出力に誤りがあった場合の確認方法や責任の所在、利用ルールを社内で定めておくと、現場が安心してAIを使えるようになります。
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まとめ:事例の「過程」から学び、自社に合ったAI開発を進めよう
国内では、創薬や設計、製造現場の保守、営業、店舗業務、経営判断など、幅広い領域でAI開発が進んでいます。成果を上げている企業は、現場の具体的な課題から出発し、社内に蓄積したデータやノウハウをAIの土台にしている点が共通しています。
中小企業でも、社内問い合わせ対応、帳票処理、営業記録の作成支援、熟練者の知識の継承など、データが手元にあり効果を測りやすいテーマから取り組むことができます。
自社で進める際は、課題と対象業務の決定、データの棚卸し、開発体制の決定、小さな検証と横展開という順序を守ることが大切です。事例の成果だけでなく、その過程に目を向けて、自社に合ったAI開発の第一歩を踏み出してください。
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